アテナイというのは今で言うところのAthens。あの子とそっくりなカメラマンのPeppiと出会ったのは、パルテノン神殿側のプラカ地区だった。マラトンとアテナイ。アカデミックな勉学の場というイメージと「行くアテがない」現実と。
ギリシャの短い旅の後、Peppiは活字のような綺麗な手書きの字で宛名書きをした角封筒で、暗室で焼いたらしいモノクロのポートレートをたくさん日本に送ってきてくれた。あの日の自分が彼女の目に映っていた。手紙とは別に大きく便箋に「Believe You」と書いてあった。ギリシャ人は英語、母国語じゃないからな。カメラマンになり、雑誌社と契約し、すでに夢を叶えていた彼女。カメラを持って放浪し、アーティストとして海外でやっていきたい俺にエールをくれた彼女と、その後、パリで再会した。
あれから、長い月日が経った。今さらに思う。もっと素直に「信じるべきだな」と。コロナで日本に留め置かれ、先が全く見えない今、不思議と絶望感とかはないが、また一からバイト生活だな。
コメント